今回ご紹介するのは、イタリアの名門服地メーカー「VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)」、通称VBC社のソラーロを使用して仕立てた一着です。
独特の色彩と光沢を持つソラーロに、柔らかな仕立てと随所に施した手仕事を組み合わせ、クラシカルでありながら軽やかな雰囲気を持つスーツに仕上げました。
ソラーロ(サンクロス)とは? その歴史と特徴
ソラーロは、20世紀初頭の英国で、強い日差しから身体を守ることを目的として開発された歴史ある服地です。
サンクロスとも呼ばれ、現在ではクラシックな紳士服を愛する人々から高い人気を集めています。
最大の特徴は、異なる色の糸を組み合わせることで生まれる、玉虫色のような独特の光沢です。
一見すると落ち着いた色合いでありながら、太陽光を受けると赤みや黄金色を帯び、見る角度や光の当たり方によって豊かな表情を見せてくれます。
一般的な無地のスーツ生地とは異なり、光の変化によって色彩の奥行きを楽しめることが、ソラーロならではの魅力です。
英国で誕生した服地でありながら、その独特の色彩はイタリアの洒落者たちにも愛され、今日ではイタリアンクラシックを象徴する服地の一つとして親しまれています。
VBC社のソラーロが持つ美しい色彩
今回使用したのは、イタリアを代表する老舗服地メーカー、VBC社のソラーロです。
繊細な色の重なりによって生まれる美しい光沢は、華やかさがありながら決して派手になりすぎず、上品な印象を与えてくれます。
特に自然光の下では、生地の持つ赤みや黄金色が際立ち、室内とは異なる表情を楽しむことができます。
こうした光による変化こそ、ソラーロを選ぶ楽しさの一つではないでしょうか。
柔らかさと立体感を両立させた仕立て
今回の一着では、ソラーロの持つ華やかさを引き立てるため、柔らかさと立体感を大切に仕立てました。
肩まわりには自然な丸みを持たせ、胸元には柔らかなボリュームを。
身体を包み込むような軽やかな着心地を意識しながらも、スーツとしての美しいシルエットを損なわないよう、細部まで調整しています。
柔らかく仕立てることは、単に構造を軽くすることではありません。
肩から胸、ウエストへとつながる立体的なラインを保ちながら、身体の動きに自然に馴染むよう仕立てることが重要です。
THE BESPOKEでは、お客様一人ひとりの身体に合わせて専用の型紙を作成し、仮縫いを重ねながらシルエットや着心地を追求しています。
今回も生地の特徴を生かしながら、柔らかさの中に美しい立体感を感じられる一着を目指しました。
ナポリ仕立ての感性を取り入れたハンドワーク
このスーツのもう一つの見どころが、随所に取り入れたハンドワークです。
ラペルには自然で柔らかな返りを持たせ、ゴージラインから施したステッチや手閂など、ナポリの仕立てに見られるディテールを取り入れています。
直線的で硬い印象にならないよう、肩まわりからラペル、胸元に至るまで、全体的に柔らかな曲線を意識しました。
手仕事による細部の仕上げは、単なる装飾ではありません。
ラペルの表情や細部の収まりに変化を与え、機械的な均一さとは異なる、温かみのある雰囲気を生み出します。
こうした細かな工程の積み重ねが、スーツ全体の佇まいにもつながっています。
英国の伝統とイタリアの感性を一着に
英国で生まれた伝統的な服地、ソラーロ。
その独特の色彩と光沢に、イタリア的な柔らかさや軽やかさ、そして職人の手仕事を重ねることで、上品でありながら力の抜けた一着に仕上がりました。
クラシックなスーツの魅力は、単に伝統的なデザインを再現することだけではありません。
生地の個性を理解し、着る方の身体や好みに合わせて仕立てることで、その一着ならではの表情が生まれます。
静岡市のオーダースーツ専門店「THE BESPOKE」では、お客様専用の型紙から仕立てる完全フルオーダー(ビスポーク)を行っています。
生地選びからデザイン、着心地、細部の仕立てに至るまで、一人ひとりの想いをカタチにすることを大切にしています。
ソラーロのように個性豊かな服地も、ぜひお気軽にご相談ください。